先輩という甘い響き

先輩・・・

 

私は何故かこの単語を聞くと頭にタッチがよぎる。

「たっちゃん・・・」

 

なんだかニュアンスがだぶるのだ。

 

私にも先輩がいる。

すごく、鼻毛が出ている。わっさりと。

初めて挨拶した時から出ていたが、恥じらい乙女なお年頃の私には

言えなかった。

それからというもの、

「これ、頼むわ(ワサッ)」

「あれ、出来た?(ワサッ)」と何か言われるたびに

気になって気になって鼻しか見れなかった。

 

誰も今まで言わなかったのか?

気づいてないのか?

と、さまざまな疑問が頭によぎったが、穏やかな日々を過ごしたい一心で

見て見ぬ振りを続けていた。

しかし、このままではいけないと思い言う事に決めた。

作戦は、

①鏡をみせてさりげなく視線を鼻にもっていかせる

②自然な会話で出てる事をさらっと言う

③ストレートにズバッと言う

をたててみた。

③は私の心がチキンな為、却下。

 

運命の日、鏡を渡して「私の鼻の形って変なんです~先輩はどんなんですか?」となかなか苦しいながらも自分の鼻に視線を持っていけた。

その日の先輩は気のせいかいつもに増して鼻毛度がアップしていた。

ドキドキしながら答えを待っていたら、

「俺、ちょっと鼻大きいなぁ~」と普通に鼻の大きさを教えてくれた。

(えぇ!?そこは「あっ、鼻毛出てた~テヘペロッ」やろが!)と動揺したが、そこでめげたら女がすたる(?)。もう一度つっこんでみた。「他は他は??」

(鼻毛こいっ!!)との心の願いもむなしく、「あっ!俺、鼻にほくろあるんや」

・・・・よかったですね☆自分の鼻で新発見が出来て☆っっっってなるかぁぁい!!

 

まさかの大本命の鏡作戦が失敗に終わったので、ミッション②を実行する事にした。

 

「先輩、水出しっぱなしですよぅ~あと鼻毛も☆(キャピッ)」と可愛い子ぶって言ってみた。

すると!

「あ、本間や。」といい蛇口をひねり水を止め、その手で鼻の中に指を入れて鼻毛を押していた。

そして、自然に去っていった。完

 

まてまてまてぇぇぇい!!

へ?それだけ?リアクションうすくない?と思いませんか?

「うっわ~いつから出てたんやろ~はずかしっ」とかあるやん?

な に も な か っ た

しかも、次見た時にはすでにまた鼻毛出てたし

もしかして、鼻毛に気づいてるけどわざとなおさないんじゃ・・・?という

新たな疑惑を残しながらも、私の鼻毛作戦は幕を引いたのであった・・・完  ?