嗚呼、あの苦い思い出よ・・・

今週のお題「花火2014」

花火。

去年は伊勢に行った。

すごく落ち着いて観る事が出来た。

 

だけど、私には「花火」と聞くとあの苦々しい思い出がよみがえるのだ。

 

それは三年前(だったかな)のPLの花火大会である。

当時、私は付き合っていた人に誘われて行くことにしたのだが、

倦怠期まっさかりで彼に会うのは一ヶ月ぶりだった。

 

もともと、人の多い場所や混むであろう電車に自ら乗り込んでいく様な

積極性などない。

 

駅に向かうタクシーの中で、運転手さんにダラダラと愚痴を言い続けていた。

さぞ、迷惑であったろう。でも、慰めてくれていた。

さんざん愚痴を言ってすっきりしたのか、

「行ってみたら楽しいかも・・・」と思い始め電車に乗り込んだ。

 

待ち合わせした乗り継ぎの駅に着いた途端

一気に萎えてしまった。

人、人、人。。。そして彼は見当たらない。

浴衣を着た楽しげなカップルを見てますます憂鬱になっていく気持ち。

 

そこへ、「もー探したで」と彼登場。

安堵の気持ちよりもますます憂鬱になる気持ち。

この時、引き返せばあの最悪な時を迎えることはなかったかもしれない。

だけど、私は変な笑顔をつくり歩き出した。

 

電車の中は事前にイメージしていた様にイメージ通りの混雑具合。

何度も降車したくなる衝動をグッとこらえ踏ん張っていた。

そこで、彼との会話がはずんでいたり、ふざけあっていれば

楽しかったかもしれない。

だけど、私たちは無言であった。目的の駅まで40分。完全に無言であった。

ここまで来て花火を観ずに帰れない!!私の中ではその思いしかなかった。

 

そして、やっとの思いで目的の駅に着き、新鮮な空気をいっぱい吸っていた時に

「歩くよ」と彼から一言。

彼から事前に「人が多くなくて花火がよく見える絶景スポットがあるねん」と

言われていた。その場所に行くのだ。

満員電車でへとへとになっていたのにまだ着いてないのか・・

と、体力が全然ないのでめげそうになったのだが、もう、

山の頂上を目指す気持ちで歩いた。何も考えないように無になりながら。

 

もちろん、歩いている時にイチャコラしていたらまだ紛らわせる事が出来たかもしれないが、いかんせん、私たちは無言。気まずさなんてもう感じないぐらい無言で歩いていた。

そして汗ダラダラでメイクもドロドロしながら歩くこと40分。

 

公園に着いた。「ここやねん」と得意げな彼。

確かに人は多すぎる事はなかった。が、少ない事もなかった。

ずんずんと公園の中に入り、ここに道ありませんけど?みたいな不安定な斜面を

人の間をぬいながら上がって行った。

 

そして、彼は土の上に腰を下ろした。

「え!?地面に直接座るの!?」と心の中で何度も叫んだけれども

レジャーシートも持っていなかった為、えーいままよと腰を下ろした。

 

精神的な疲れと肉体的な疲れで、何をしに来たかわからなくなっていたが、

あと10分で花火があがるというワクワク感でまだ気力を保っていた。

もちろん、彼とは無言であった。

 

そして

「ドン!!!!」という音と共にパラパラパラパラと花火の音がした。

 

私は目をキラキラしながら「わぁ~」と思わず歓喜の声を出した。

 

ところが、音は聞こえるのだが、肝心の花火がいない。

あれ?と思いきょろきょろ探したのだが音だけで花火の姿がないのだ。

「迷子のお知らせを致します。大きい輪を描いた花火さん~」と心中でアナウンスを

していたら、彼が気づいた。「あっっっ!!!」

 

何かと思えば、私たちの正面に大きな木があったのだが、姿の見えない花火さんは

どうもちょうどその木で隠れていらっしゃった模様。うふふ恥ずかしがり屋さん♪

 

と思える訳もなく、移動しようにも見えるところは満席。

空いている場所に移動しても見えなくてどうしようもない。

 

・・・・・・なすすべもなくしばらくはその場所で音だけを聞いていたが

さすがに気まずさを感じたので「帰ろ」と一言つぶやき、

花火の音を背に元来た道を戻って行った。

 

もう、疲れや汗など気にならなかった。

とにかく帰りたいの一心であった。

 

そして花火真っ最中の為、空いている電車に乗りながら

私は寝た。行きは彼に気を使っていたが、もうどうでもよかった。

おもいっきり寝た。

彼が先に降りる時に「泊まってく?」みたいな事を言っていたと思うが、

私は寝た振りをし、やりすごした。

 

 

それから、彼とどうなったかというと、もう想像つくとは思いますが、

好きだという気持ちは花火の前からもしかするとなくなっていたかもしれないが

会う事も連絡をとることもなく自然消滅しましたとさ。

 

今でもリアルに思い出す。公園までの歩いた道、肌を伝う汗が冷たかったこと、

無になるために「私は石、私は石」とガラスの仮面北島マヤばりに唱えていたこと

無言の私たちとは対照的に浴衣を着たカップル達が楽しそうであったこと。。。

 

花火大会は、私にとってトラウマである。